私たちが当たり前のように楽しんでいるバス釣り。その日本第一号の魚が放たれたのが、箱根の芦ノ湖だということをご存じでしょうか。1925年(大正14年)、実業家の赤星鉄馬氏がアメリカ・カリフォルニアからオオクチバスを持ち帰り、この湖に放流したのが日本のバスフィッシングの原点です。つまり芦ノ湖は、日本のバスアングラーにとっての“聖地”。この記事では、ワーム禁止をはじめとする独自ルール・遊漁料・ボート料金・ポイントの考え方まで、初めて芦ノ湖に行く方に向けて解説します。
芦ノ湖は日本のバス釣り発祥の地
芦ノ湖は約3,000年前、箱根火山の水蒸気爆発で崩れた山が川をせき止めてできた湖です。神奈川県最大の湖であり、箱根を代表する観光地でもあります。
この湖にバスが放流されたのは1925年。当初は芦ノ湖だけで増やす計画でしたが、その後、心ない持ち出しによって全国各地へ広まり、現在では特定外来生物として扱われるまでになりました。芦ノ湖はいわば“すべての始まりの場所”であり、100年前から続く歴史を背負ったフィールドなのです。
なお現在も、芦之湖漁協が箱根・元箱根・湖尻の各湾内へオオクチバスの放流を続けています。2026年5月には全長63cm・5.52kgという大物の記録も報告されており、ポテンシャルは今も健在です。

【重要】芦ノ湖のルールは日本一厳しい
芦ノ湖の釣りは、独自ルールの厳しさで知られます。知らずに行くと確実にトラブルになるので、必ず目を通してください。
ワームの使用は全面禁止(2000年3月1日〜)
芦ノ湖では、プラスチックワーム・合成つけ餌の使用が禁止されています。根掛かりで湖底に残ったワームを、トラウト類など他の魚が食べてしまうのを防ぐためです。ただしルアーの進化に合わせて、現在は以下の条件でソフト素材の使用が認められています。
- テールにソフト素材が使われている場合、ルアー全長の30%までOK(※取り外して単体で使うのは不可)
- フロッグはOK(水面で使うため湖底に残らないという考え方から)
細かい規定は追加・更新されるので、最新は芦之湖漁協の公式サイトで確認してください。なお、このワーム禁止ルールが定着して以降、芦ノ湖のバスは体型が良くなり、でっぷり太った50cmアップが多く上がるようになったと言われています。厳しいルールは、良いバスを育てているわけです。
その他の主なルール
- 解禁期間は3月1日〜12月14日(それ以外は禁漁)
- 釣りができるのは日の出1時間前〜日没1時間後。夜釣りは禁止
- オオクチバスを生きたまま湖から持ち出すのは違法(法律で禁止・処罰対象)
- 人がいる桟橋や釣り禁止エリアでの釣りは厳禁
- 国立公園内のため場所取りは禁止
- 禁漁区域あり(庭石と桟橋付根を結んだ線以東の湖面は3/1〜4/30、10/1〜11/30が禁止)
- ボート利用時は救命胴衣を着用、飲酒しての乗船は不可
- 路上駐車をしない(駐車場を利用)
ちなみに、かつて岸からのエサ釣りに規制がありましたが、2026年6月1日より芦ノ湖の全域でエサ釣りが解禁となりました。長く続いた西岸区域の規制も解除されています。
遊漁料【現場売りは2倍以上】
芦ノ湖の遊漁料でいちばん注意すべきは、現場券が店売りの2倍以上になることです。必ず事前に購入しましょう。
| 区分 | 店売り | 現場券 | 年間券 |
| 大人 | 1,800円 | 4,000円 | 20,000円 |
| 身体障害者 | 900円 | 2,000円 | 10,000円 |
| 中学生以下 | 無料 | 無料 | 無料 |
遊漁券は湖畔の釣具店・ボート店・ホテル・セブンイレブン元箱根店などで購入できるほか、スマホアプリ「FISHPASS」なら24時間いつでも購入可能です。年間券は毎年1月15日から芦ノ湖水産センターで受付(縦3cm×横2.4cmの顔写真1枚が必要)。対象魚はオオクチバスのほか、やまめ・いわな・ひめます・にじます・ブラウントラウト・コーホーサーモン・わかさぎなど多彩です。
レンタルボートの料金
芦ノ湖はボートで広く探るのが基本のフィールドです。湖尻湾・元箱根湾・箱根湾の各所にボート店があります。
| 種類 | 定員 | 1日 | 半日 |
| エンジンボート | 4名以上 | 12,000円 | 9,500円 |
| エンジンボート | 3名 | 10,000円 | 7,500円 |
| ローボート | 3名 | 5,000円 | 4,000円 |
| ローボート | 2名 | 4,000円 | 3,500円 |
エンジン付きは1日=9時間、半日=5時間(正午が基準。超過は1時間ごとに500円加算)。船外機やエレクトリックモーターなど動力を使う場合は小型船舶操縦士免許証の確認がありますので、必ず携帯してください。大型の遊覧船が航行しているため、引き波には十分注意を。

芦ノ湖のバス釣りポイントの考え方
芦ノ湖はバスの数が多く、「ここだけ」という決定的なポイントはありません。だからこそ、陸っぱりで粘るよりボートで広範囲を探るのが正解です。
- 桟橋の下:バスが着いている定番。ただし小型が多い(※人がいる桟橋への キャストは厳禁)
- 流れ込み:大きいバスを狙うならこちら
- オーバーハング(木陰):夏は岸の浅場を覆う日陰に魚が集まる
- 湾内(箱根・元箱根・湖尻):放流が行われるエリア
ワームが使えないぶん、ポークやスモラバでのスローな釣りが定番ですが、ハードルアーの素早い動き・変則的な動きでリアクションバイトを誘うのも有効です。ジャークベイトやシャッドは芦ノ湖の必携アイテム。「ワームがないと釣れない」は思い込みで、ソフトルアーに頼らずとも釣りが成立する湖だと考えると、持ち込むタックルも減ってゲーム性が濃くなります。

バス以外も釣れる|トラウトの魚影が濃い
芦ノ湖はバス以外も充実しています。レインボートラウト、ブラウントラウト、ヒメマス、ヤマメ、イワナ、ヘラブナ、そして冬にはワカサギ。バスが釣れなくてもトラウトならルアーに反応してくれることが多いので、バスを狙いつつトラウトも視野に入れておくと、丸ボウズを避けられます。
トラウトを狙う場合もワーム禁止・ハードルアーのみという点は同じなのでご注意を。ます類には持ち帰り尾数の制限もあるため、規則を確認しておきましょう。

アクセス
所在地は神奈川県足柄下郡箱根町箱根184-1(芦ノ湖水産センター)。車の場合はこの住所か施設名でナビを設定してください。電車なら新宿から特急ロマンスカーで箱根湯本まで1本、小田原駅からバスで約60分です。山梨・河口湖方面からは東富士五湖道路〜東名・御殿場経由で1時間半ほど。富士五湖とセットで巡るプランも組めます。
釣りの合間に|観光遊覧船でひと休み
芦ノ湖は箱根随一の観光地でもあります。釣りの疲れを癒すなら遊覧船がおすすめ。海のような荒い波がなく、船酔いしにくいので家族連れにも向いています。箱根関所跡港・元箱根港・箱根園港・湖尻港を結ぶ30分/40分/70分の周遊コースがあり、家族と一緒の旅行なら「自分は釣り、家族は遊覧船と観光」という組み立ても可能です。手ぶらでもレンタル釣具がそろっているので、同行者に釣りを体験してもらうのもいいでしょう。

まとめ|聖地でルールを守って一本を
芦ノ湖は日本のバス釣りが始まった場所であり、ワーム禁止・生きたままの持ち出し禁止・現場券は2倍以上という厳しいルールを持つ湖です。しかしその厳しさこそが、100年後の今も太った良型が上がり続ける環境を守ってきました。
ルールを守り、ハードルアーで一本を絞り出す。それが芦ノ湖の流儀です。箱根旅行のプランにぜひ組み込んでみてください。
富士五湖の各湖もあわせてどうぞ。芦ノ湖と同じくワーム禁止の河口湖・西湖、ワームが使える山中湖・精進湖と、ルールの違いを比べてみると面白いはずです。




バス釣りの基礎から季節・タックル選びまで体系的に知りたい方は、こちらの完全ガイドもどうぞ。

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富士五湖で最も深くクリアな本栖湖も、静かに狙える湖です。
