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鯉釣り入門|遊漁券と持ち出し禁止のルール・タックル・釣り方を解説

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鯉は全国の川・湖・池に広く生息していて、60〜70cm、大きければ80cmを超える個体も珍しくありません。身近な水辺であれだけの大物と勝負できる釣りは、そう多くないと思います。

ただ、先に結論をお伝えします。鯉釣りは「身近だからこそ、知らずにルール違反をしやすい釣り」です。押さえるべきは2つ。①コイは漁業権の対象魚種なので多くの場所で遊漁券が必要 ②釣った鯉を生きたまま持ち出すことは、多くの都道府県で禁止されています。

鯉釣りのフィールドとなる川

山梨に住んで20年以上、富士五湖や静岡の海を中心に釣りをしてきました。鯉は身近な釣り物ですが、この2点を知らずに始めてしまう人が本当に多い魚でもあります。

とくにネット上には数年前の情報も多く残っていて、「近所の用水路で気軽に狙える」「注意すべきなのは錦鯉くらい」といった説明を見かけることがあります。これは現在のルールに照らすと不十分で、そのまま実行すると法令違反になりかねません。まずここから整理していきます。

【最重要】鯉釣りを始める前に知るべき2つのルール

① コイは漁業権の対象魚種|遊漁券が必要な場所が多い

河川や湖沼などの内水面では、地元の内水面漁業協同組合が第5種共同漁業権の免許を受けている水面が多くあります。漁協は漁業法にもとづき、アユやコイなど漁業権の対象魚種について増殖義務を負っていて、稚魚の放流などを行っています。

つまりコイは「勝手にそこにいる魚」ではなく、漁協が管理・放流している魚であることが多いのです。そのため漁協の漁場でコイを釣るには、都道府県知事の認可を受けた遊漁規則にしたがい、遊漁券を購入する必要があります。

遊漁券を買わずに遊漁を行うと、漁業権侵害に問われる場合があります。漁業権を侵害した者は、漁業法により100万円以下の罰金に処せられます。「知らなかった」で済む金額ではありません。

  • 釣行前に:その水域に漁業権が設定されているか、漁協サイトや県の水産担当課で確認する
  • 遊漁券は事前購入が基本:現場で買うと割高になることが多い
  • 漁場監視員の指示に従う:遊漁承認証は求められたら提示する

② 釣った鯉を「生きたまま持ち出す」のは禁止されている場合が多い

こちらは鯉釣りに特有の、そして見落とされやすいルールです。コイヘルペスウイルス病(KHV)のまん延を防ぐため、各都道府県の内水面漁場管理委員会が「委員会指示」を出しています。

内容は都道府県によって違いますが、多くは次のような制限です。

  • 持ち出しの禁止:採捕したコイを、生きたまま公共用水面から持ち出してはならない
  • 放流の制限:釣ったコイを別の河川・湖沼・水路へ放してはならない
  • 遺棄の禁止:生死を問わず、水域にコイを捨ててはならない

たとえば私の住む山梨県では、採捕したコイの持ち出しは原則禁止されています(令和7年委員会指示第2号)。エラを除去した場合や、採捕した流域内で食用に供する場合などの例外はありますが、これらに当てはまらない場合は、その場でリリースする必要があります。

長野県でも県内全域で生きたままの持ち出しが禁止されており、静岡県・神奈川県のように水域を指定して持ち出し・放流を禁止している県もあります。委員会指示に違反した場合、漁業法にもとづき罰せられることがあります。

なおKHVはコイ(マゴイ・ニシキゴイ)だけの病気で、人や他の魚には感染しません。コイに触れても、感染したコイを食べても人体に影響はないとされています。恐れる必要はなく、必要なのは「魚を移動させない」という一点です。

指示の内容は都道府県ごとに異なり、期間が更新されることもあります。お住まいの都道府県の内水面漁場管理委員会の最新指示を必ず確認してください。

③ 用水路・ため池は「釣っていい場所」とは限らない

鯉は用水路にもいます。ただし用水路は農業用のインフラで、多くが土地改良区や自治体などの管理下にあります。釣り場として開放されている場所ではありません。

  • 立入禁止・柵の中には入らない。農地への無断立入もトラブルのもと
  • コンクリート護岸は滑落の危険が大きい。深さがあり、上がれずに事故になる例がある
  • 錦鯉が泳ぐ水路や池は、地域が管理・放流しているもの。観賞用の鯉を釣るのは論外です
  • 私有地のため池には入らない

身近さは鯉釣りの魅力ですが、それは「どこでも竿を出していい」という意味ではありません。漁協が管理する河川・湖、または管理釣り場から始めるのが確実です。

鯉という魚|回遊型と居着き型

鯉イラスト

鯉には大きく2つの行動パターンがあります。これを見極めると、釣りの組み立てが変わります。

タイプ特徴釣り方の方針
回遊型広い範囲を泳ぎ回る。いない時間帯がある回ってくるのを待つ/広く探る
居着き型ほぼ同じ場所にいる。橋脚まわりなど定位置を狙える。警戒心が強い

居着きの鯉は臆病で、人が近づくと一度離れます。ただ危険がないと分かると戻ってくるので、静かに待つのが有効です。姿を見せない、足音を立てない、影を落とさない。この3つを守るだけで反応が変わります。

鯉は寒さにも暑さにも強く、基本的に一年を通して狙えます。とくに春先は産卵を控えた個体が浅場に集まるため、大型に出会える確率が上がります。

鯉釣りのタックル|強度に余裕を持たせる

鯉釣りで最も大切なのはタックルの強度です。60〜80cmで体高もあり、走られると相当な負荷がかかります。

  • ロッド:鯉専用の3〜3.6m前後、またはバス用より強い磯竿・投げ竿。硬めで胴にパワーがあるもの
  • リール:3000番前後のスピニング。ドラグ性能がしっかりしたもの
  • ライン:ナイロン4号以上(16lb相当〜)。障害物周りではさらに太く
  • ハリ:鯉針、または太軸の丸セイゴ

「手持ちのバスタックルで代用する」のは避けてください。ロッドの破損もさることながら、ラインが切れると仕掛けを魚の口に残したまま逃がすことになります。これは魚に長く苦痛を与えますし、切れた糸が水鳥に絡む事故にもつながります。強度の余裕は、自分のためではなく魚と環境のためのものだと考えてください。

大型を取り込むための大きめのタモも必須です。抜き上げようとすると、魚も仕掛けも傷みます。

鯉釣りのエサ

鯉は雑食性で、口に入るものはとりあえず吸い込んで確かめる習性があります。ただしエサだと認識しなければすぐ吐き出すので、ルアーでは狙いにくい魚です。

  • 食パン:手軽で反応も良い。水面を流す釣りにも使える
  • 練りエサ(ダンゴ):鯉用やヘラブナ用。集魚力が高い
  • ミミズ:定番。他の魚も釣れる
  • トウモロコシ(コーン):入手しやすく食いも安定

鯉は吸い込んでから吐き出すまでが早いので、エサをハリからすぐ外れない状態にしておくことが釣果を左右します。

なお、撒きエサが禁止されている水域もあります。これも遊漁規則で確認してください。

流れで変わる釣り方とアワセ

鯉釣りで狙う流れのあるポイント

同じ鯉でも、流れの速さでアタリの出方とアワセのタイミングが変わります。ここが鯉釣りの面白いところです。

流れが速い場所

流れの中にいる鯉は体力があり、上流から流れてくるエサに素早く反応して持って行こうとします。アタリが一瞬で、そのまま強烈に走るのが特徴です。

この場合は竿先が引き込まれた瞬間にアワせる。掛けてからのファイトも重量感があり、鯉釣りの醍醐味を味わえます。

流れが緩い場所

流れのない場所の鯉は、エサをゆっくり吸い込みます。ここで吸い込んだ瞬間にアワせると、ハリが掛かりきらずにバレます。

緩流帯ではしっかり食い込んだのを確認してからアワせるのが正解です。ウキや竿先が確実に持って行かれるまで待つ。この「待てるかどうか」で釣果が変わります。

鯉釣り 早見表

項目内容
サイズ60〜70cm中心。80cm超も出る大型魚
遊漁券必要な場所が多い(コイは漁業権対象魚種)
持ち出し生きたままの持ち出しは禁止の都道府県が多い(KHV対策)
シーズン通年。春先の浅場は大型のチャンス
ロッド鯉専用3〜3.6m、または強めの磯竿・投げ竿
リール/ライン3000番前後/ナイロン4号以上
エサ食パン、練りエサ、ミミズ、コーン
アワセ流れが速い=即アワセ/緩い=食い込んでから
釣り場漁協管理の河川・湖、管理釣り場。用水路・私有地の池は避ける

まとめ|ルールを押さえれば、身近な大物釣り

鯉釣りが楽しめる水辺の風景

鯉釣りは「10日通って1匹」と言われることもあるほど、簡単に数が出る釣りではありません。エサを吐かれ、見切られ、それでも掛かったときの重量感は他では味わえないものがあります。

最後にもう一度、大切な点だけ繰り返します。

  • コイは漁業権の対象魚種。遊漁券が必要な水域が多い(無許可は漁業法違反)
  • 釣った鯉は生きたまま持ち出さない。多くの都道府県で禁止(その場でリリース)
  • 用水路・私有地の池では釣らない。漁協管理の水域か管理釣り場へ
  • タックルは強度に余裕を。切れた仕掛けは魚と環境を傷つける

ルールさえ押さえてしまえば、あとは身近な水辺で大物と向き合えるすばらしい釣りです。まずはお住まいの地域の漁協サイトを一度のぞいてみることから始めてみてください。

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