夏になると川に立ち並ぶ、長い竿を構えた釣り人。あれが鮎の友釣りです。塩焼きでおなじみの鮎ですが、釣り方はかなり独特で、初めての人にはハードルが高く見えると思います。
先に結論をお伝えします。鮎釣りを始めるのに必要なのは、まず「アユ専用の遊漁券」と「解禁日の確認」です。そして友釣りは、オトリで縄張り鮎を怒らせて掛ける釣り。針を引っ掛けて獲る釣りとは明確に違います。

山梨に住んで20年以上、富士五湖や静岡の海を中心に釣りをしてきました。地元では桂川や富士川が鮎の川として知られていて、解禁日には川沿いが人でいっぱいになります。
なおネット上には古い情報も残っていて、「群れの中に針を泳がせて引っ掛ければ釣れる」といった説明を見かけることがあります。これは友釣りとは別の漁法で、時期・区間・針数が細かく規制され、河川によっては禁止されています。知らずに真似すると規則違反になるので、この記事で違いをはっきりさせておきます。
鮎はどんな魚?|1年で一生を終える
鮎は年魚と呼ばれ、基本的に1年で一生を終える魚です。その生活史を知ると、なぜ解禁期間があるのかが腑に落ちます。
| 時期 | 鮎の様子 |
| 秋 | 川の下流で産卵し、親は一生を終える |
| 冬 | 孵化した稚魚が海(または湖)へ下る |
| 春 | 海で育った稚魚が川をさかのぼる(遡上) |
| 夏 | 川の石に付くコケ(藻類)を食べて成長。縄張りを持つ |
ポイントは食性と縄張りです。鮎は成長すると石に付いたコケを主食にします。良質なコケが生えた石は貴重なので、鮎はその石を自分の縄張りとして守り、入ってきた他の鮎を体当たりで追い払います。
この強烈な縄張り意識を利用したのが、次に説明する友釣りです。
【最初に確認】解禁日と遊漁券
鮎釣りは解禁期間が決められた釣りです。資源保護のため、産卵期を含む秋から春は禁漁になります。
解禁は6月ごろ。ただし河川ごとに違う
多くの河川で6月ごろに解禁し、秋まで楽しめます。ただし解禁日は全国一斉ではなく、河川・漁協ごとに設定されます。
山梨県では、富士川漁協・桂川漁協・都留漁協の6月1日を皮切りに、各河川が順次解禁していきます。桂川漁協の場合、解禁日には約2,000人が訪れるほどの人出になります。
アユは「専用の遊漁券」が必要なことが多い
ここが見落とされやすい点です。アユは他の魚種と料金体系が別になっていることがよくあります。
たとえば山梨県内共通遊漁券は、イワナ・ヤマメ・コイ・フナ・ワカサギなどが対象ですが、アユは対象外です。アユを釣るには、その河川の漁協が発行するアユ用の遊漁券を別途購入する必要があります。
- 釣行前に管轄漁協を調べる:河川ごとに漁協が違う
- アユ券かどうかを確認する:渓流券や共通券ではアユを釣れないことがある
- 事前購入が基本:オトリ屋・釣具店・アプリ(つりチケ、FISHPASSなど)
- 遊漁承認証は見えるところに付ける:漁場監視員が巡回している
山梨県漁業協同組合連合会の案内では、魚が釣れていなくても遊漁料金を支払う義務があると明記されています。「釣れなかったから払わない」は通りません。
料金は漁協ごとに異なり改定もされるため、ここでは具体的な金額を挙げません。各漁協の公式サイトで最新をご確認ください。
友釣りとは|オトリで縄張り鮎を怒らせる

友釣りは、生きた鮎(オトリ)を泳がせて、縄張りを持つ鮎に体当たりさせ、その勢いで掛け針にかける釣り方です。
オトリの後方にはイカリ針などの掛け針が付いています。縄張り鮎がオトリを追い払おうと突進してきたとき、この針に掛かるという仕組みです。針にエサは付いていません。
オトリはどうやって手に入れる?
最初のオトリは川沿いの「オトリ屋」で購入します。釣り場の近くに必ずと言っていいほどあり、当日の状況や入川ポイントを教えてもらえる貴重な情報源でもあります。
そして友釣りの面白いところは、掛かった鮎を次のオトリにできることです。元気な鮎が手に入るほど次が釣りやすくなり、逆に掛からないとオトリが弱っていく。この循環が「オトリが変わる」という独特の言い回しにつながっています。
【重要】友釣りと「引っ掛け釣り」は別物
冒頭で触れた点を、ここで整理します。
| 友釣り | コロガシ(引っ掛け釣り) | |
| 仕組み | オトリで鮎を誘って掛ける | 針を流して魚体に引っ掛ける |
| オトリ | 使う | 使わない |
| 扱い | 鮎釣りの基本スタイル | 時期・区間・針数の規制対象 |
コロガシ釣り(ごろびき、チョンがけ、空釣り針などとも呼ばれます)は、禁止されている河川があります。認められている場合でも、解禁される時期が友釣りとは別(縄張りを持たなくなる秋以降が多い)で、区間や針の数まで漁協ごとに細かく決められています。
「群れに針を通せば掛かる」という発想で川に入るのは避けてください。やる場合は必ず管轄漁協に確認を。まずは友釣りの基本から入るのが安全です。
鮎釣りのタックル

友釣りはリールを使わない延べ竿の釣りです。
- 鮎竿:8〜9m前後の専用竿。長く軽いものほど高価になる
- 仕掛け:天井糸・水中糸・ハナカン周り・掛け針で構成
- 掛け針:イカリ針が一般的。針数の規制がある河川が多い
- タモ:鮎用の大きめのもの。掛かった鮎を空中でキャッチする
- 引き舟:オトリを生かしておく舟形の容器。腰に付けて使う
- ウェーダー・鮎タイツ+フェルトの鮎足袋:川に立ち込むため必須
掛け針の本数やハリスの長さは、漁協の遊漁規則で制限されていることが多いので確認が必要です。参考までに相模川漁連では、イカリ針は4本1段以内、チラシ・ヤナギ針は3本以内、下針までのハリスは尾びれの端から10cm以内と定められています。擬似オトリの禁止、リールの禁止、他河川からの友鮎の持ち込み・持ち出し禁止といったルールもあります。
この「友鮎の持ち込み禁止」は病気のまん延防止のためで、漁具の消毒も呼びかけられています。他の川で買ったオトリをそのまま持ち込まないよう注意してください。
道具一式をそろえると高額になりますが、オトリ屋や釣具店でレンタルできる場合もあります。まず一度体験してみて、続けたくなってから買いそろえるのが現実的です。
【安全】川に立ち込む釣りだからこそ
友釣りは川の中に立ち込んで行う釣りです。ここが他の釣りと決定的に違うリスクになります。
- フェルト底の鮎足袋を必ず履く。川底の石はコケで極端に滑る
- ライフジャケットの着用を。流れの速い瀬では流されると止まらない
- 上流の天候に注意。晴れていても上流の雨で急に増水する
- ダム放流のサイレンが鳴ったら、すぐ川から上がる
- 単独釣行は避ける。行き先と帰宅予定を家族に伝える
- 無理に立ち込まない。膝上を超える流れは危険と考える
鮎は流れの速い瀬を好むため、良いポイントほど危険度が上がるという構造があります。釣果より足元を優先してください。
鮎釣り 早見表
| 項目 | 内容 |
| 対象魚 | アユ(年魚・1年で一生を終える) |
| シーズン | 6月ごろ解禁〜秋。河川・漁協ごとに解禁日が違う |
| 必要なもの | アユ専用の遊漁券(渓流券・共通券では釣れないことが多い) |
| 基本の釣り方 | 友釣り(オトリで縄張り鮎を掛ける) |
| 竿 | 鮎用の延べ竿8〜9m前後。リールは使わない |
| 掛け針 | イカリ針など。本数・ハリス長の規制がある河川が多い |
| オトリ | 川沿いのオトリ屋で購入。他河川からの持ち込みは禁止のことも |
| 足元 | フェルト底の鮎足袋+ライフジャケット |
| 注意 | コロガシ(引っ掛け釣り)は友釣りと別。禁止の河川あり |
まとめ|まずは解禁日と遊漁券の確認から

鮎の友釣りは、魚の縄張り意識という生態をそのまま釣り方に変えた、日本独自の釣りです。掛かった瞬間の衝撃と、水中で銀色に翻る魚体は、一度味わうと忘れられません。
道具の値段や技術の難しさから敷居が高く見えますが、始め方はシンプルです。①行きたい川の漁協を調べて解禁日を確認する ②アユ用の遊漁券を用意する ③オトリ屋でオトリを買い、その日の状況を聞く。この3つで川には立てます。
あとは足元に気をつけて、夏の川を楽しんでください。地元・山梨なら6月の解禁がひとつの区切りになります。
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