海釣りを始めてサビキに慣れてくると、「もう少し違う魚も釣ってみたい」と思う時期が必ず来ます。そこで次の一歩としておすすめしたいのがチョイ投げ釣りです。足元に落とすサビキに対して、チョイ投げは仕掛けを軽く投げて底を探る釣り。狙える魚が一気に増えて、しかも食べておいしい魚が多いのが魅力です。
チョイ投げで釣果を安定させるコツは、「ナイロンの3号」「天秤+2本針の市販仕掛け」「ゆっくりズル引き」の3つを守ることです。道具は難しく考えなくて大丈夫。ただし、投げる釣りである以上、後方の安全確認と、危険な魚が釣れたときの対処だけは最初に覚えてください。私は静岡の堤防で20年以上竿を出していますが、チョイ投げは今でも一番よく使う「保険の釣り」です。

チョイ投げ釣りとは? 本格的な投げ釣りとの違い
チョイ投げは、その名のとおり仕掛けを「チョイ」と軽く投げる釣りです。本格的な投げ釣りが4メートル超の長竿で100メートル以上先を狙うのに対し、チョイ投げは2〜3メートルの短い竿で、堤防から10〜30メートルほど先を探ります。
遠投しないぶん道具が軽く、体力もいりません。砂地に潜む魚を広く探れるので、足元しか狙えないサビキでは出会えない魚が釣れます。堤防・岸壁・河口・砂浜と、釣り場を選ばないのも大きな利点です。
チョイ投げで釣れる魚
チョイ投げの主役は、なんといってもシロギスです。砂地に群れていて、当たれば数釣りもできます。天ぷらにすると絶品で、「チョイ投げといえばキス」と言っていいくらいの本命です。
| 魚種 | 狙える時期 | ポイント |
| シロギス | 初夏〜秋 | 砂地。堤防の先端まわりや砂浜 |
| ハゼ | 夏〜晩秋 | 河口や汽水域の砂泥底 |
| メゴチ・ベラ | ほぼ通年 | 砂地。数が釣れる代表的な外道 |
| カレイ | 晩秋〜春 | 砂泥底。低水温期の本命 |
| アイナメ・カサゴ | 秋〜春 | 岩まじりの底。根魚系 |

季節でターゲットが入れ替わるので、一年を通して楽しめるのがチョイ投げの強みです。夏はキスとハゼ、冬はカレイと根魚、というふうに狙いを切り替えていきます。
また、思わぬ大物が食ってくることもあります。セイゴ(小型のシーバス)やクロダイが掛かることも珍しくありません。ただしこれらは狙って釣るというより「うれしい外道」の位置づけで、本命として狙うなら専用の釣りに切り替えたほうが確実です。

夜のチョイ投げではアナゴも定番です。ただし夜の堤防は足元が見えず、転落事故が起きやすい時間帯でもあります。慣れないうちは明るい時間帯から始めて、夜釣りは経験を積んでから、必ず複数人でライフジャケットを着用して臨んでください。

チョイ投げのタックル
ロッド:2〜3メートル、オモリ負荷10〜15号
専用の竿を買う必要はありませんが、迷ったら3メートル前後の投げ竿(オモリ負荷10〜15号)が扱いやすいです。投げ竿は穂先が太くて折れにくいので、竿の扱いに慣れていない方でも安心して使えます。シーバスロッドやエギングロッドを持っているなら、それでも十分に代用できます。
リール:3000番クラス
スピニングリールの3000番前後を選べば間違いありません。サビキやルアーにも使い回せるサイズなので、最初の1台としても優秀です。
ライン:ナイロン3号 — 「PEを使う」という情報には注意
ネット上には「チョイ投げにはPEラインを使いましょう」という解説をよく見かけますが、初心者が最初に選ぶラインとしてはおすすめしません。PEは細くて風に舞いやすく、竿先や仕掛けに絡むトラブルが頻発します。さらに伸びがないため、重いオモリを投げた瞬間の衝撃で高切れを起こしやすく、根ズレにも弱い。ショックリーダーを結ぶ手間も増えます。
チョイ投げで使うならナイロンの3号を150メートルほど巻いておけば十分です。適度に伸びるのでキャスト時の衝撃を吸収してくれますし、価格も手頃。慣れてきて遠投したくなったら、そのときにPEを検討すれば間に合います。
仕掛けは「天秤+2本針」が基本
チョイ投げで最も大事なのが仕掛けです。ここを外すと釣れません。使うのは天秤オモリと投げ釣り用の仕掛けの組み合わせです。
- 天秤……3〜10号。竿のオモリ負荷の範囲内で、底が取れる重さを選ぶ。仕掛けが絡みにくい「ジェット天秤」が使いやすい
- 仕掛け……針6〜8号の2本針、全長1メートル以下の市販品。「チョイ投げ仕掛け」として売られている
- 予備……根掛かりやフグの被害で消耗するので、最低3セットは持っていく
天秤とオモリ、仕掛けがすべてセットになったパッケージも各社から出ています。最初の1回はそれを買えば、結び方に悩まずすぐ釣りを始められます。
エサはイシゴカイかアオイソメ
チョイ投げはエサ釣りです。定番はイシゴカイ(ジャリメ)とアオイソメ。キスやハゼは口が小さいので、細めのイシゴカイのほうが食い込みがよくなります。
針に刺すときは、頭からまっすぐ通して、余った部分は短く切るのが基本です。長く垂らすと、エサだけ取られてしまいます。
釣り方は「ゆっくりズル引き、たまに止める」
投げたら底まで沈め、糸ふけを取ってからゆっくりリールを巻いて仕掛けを底で引きずります。広い範囲を探れるのがチョイ投げの持ち味なので、待つよりも動かして魚を探すイメージです。
コツは、数メートル引いたら10秒ほど止めること。止めた瞬間に食ってくることが非常に多いです。巻きっぱなしにせず、「引く・止める」を繰り返しながら扇状に探ってみてください。
アタリは「コツコツ」と手元に伝わります。キスの場合はそのまま巻き続ければ勝手に針掛かりするので、慌てて大きくアワセる必要はありません。
【安全】投げる前に、必ず後ろを見る
チョイ投げは軽い釣りですが、それでも10号のオモリは約38グラムの金属の塊です。これが人に当たれば大怪我になります。
キャストの前に必ず後方を目視で確認してください。堤防は人が背後を通ることが多く、「振りかぶった瞬間に人が来た」というヒヤリは実際によくあります。真後ろに振りかぶらず、体の横から振る「サイドスロー」を覚えておくと、人の多い釣り場でも安全に投げられます。
【重要】危険な魚が釣れたときの対処
チョイ投げは底を探る釣りなので、毒を持つ魚が掛かる確率が他の釣りより高いのが実情です。代表的なのは次の魚です。
- アカエイ……尾の付け根に鋭い毒針。刺されると激しい痛みに加え、血圧低下や呼吸障害などの症状が出ることがある
- ゴンズイ……背びれと胸びれに毒。やけどに似た痛みが数時間続く
- ハオコゼ……10センチほどの小魚だが背びれに毒。小さいので油断しやすい
- アイゴ……各ひれのトゲに毒。死んだ後も毒は残る
よく「わからない魚が釣れたら、とりあえずリリースすればいい」と言われますが、この順序は危険です。リリースするには魚を掴む必要があり、その時点で刺されます。正しい順序は、まず触らないこと。見慣れない魚が掛かったら、ハリを外そうとせずハリスを切って海に戻すのが最も安全です。仕掛けは数百円ですが、指を刺されれば釣りどころではなくなります。
それでも刺されてしまった場合の応急処置は、環境省が公開している情報が参考になります。傷口をよく洗って毒を絞り出し、やけどをしない程度のお湯に患部を浸けて温めるのが基本です。これらの魚の毒はタンパク質性で熱に弱いため、温めることで不活化します。そのうえで必ず医療機関を受診してください。トゲが折れて体内に残っていることがあり、自己判断は危険です。
環境省「せとうちネット」の危険な生きものページに、種類ごとの症状と応急処置がまとめられています。スマートフォンにブックマークしておくと、いざというときに慌てずに済みます。
置き竿にするときの注意
チョイ投げは仕掛けを投げて放置しても釣れるため、他の釣りをしながら「置き竿」にする人もいます。私もよくやります。ただし、いくつか守るべきことがあります。
- 竿から離れすぎない。大物が食うと竿ごと海に引き込まれる
- 竿受け(三脚やロッドホルダー)を使い、通路をふさがない場所に置く
- 放置竿・置き竿を禁止している釣り場もあるため、看板の確認を

まとめ|サビキの次の一歩に最適な釣り
チョイ投げは、道具も仕掛けもシンプルなのに狙える魚が一気に広がる、コストパフォーマンスの高い釣りです。ナイロン3号、天秤+2本針、ゆっくりズル引き——この3つを押さえれば、初日から釣果が出せます。
そして何より、投げる前の後方確認と、危険な魚に素手で触らないこと。この2つを習慣にしておけば、チョイ投げは何年でも安心して楽しめる釣りになります。サビキに飽きてきたら、ぜひ次の一歩として試してみてください。
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▼イシゴカイやアオイソメなど、エサの種類と使い分けはこちらで詳しく解説しています。

▼季節ごとに釣れる魚と釣り方。狙う時期を合わせると釣果が伸びます。

▼軽いルアーでアジ・メバルを狙うライトゲームも、次の一歩としておすすめです。

▼砂地ではなく、堤防の際や隙間を狙うなら穴釣り。冬の本命です。

